建築士になるまでに

建築士になるまでに

「けんちく」のプロを目指して

道路幅の基準は4メートル

皆さんお久しぶりです、mitsukiです。

 

中古物件を再利用して活用するケースが増えていますね。

実際問題安く取得できることは容易に想像できますし、メリットは多そう。

 

しかし良さげな中古物件だからといって安易に購入に踏み切るのは大変危険な行為です
この業界には建築基準法という制約がそこかしこに登場します。

 

そこで今回のテーマは「道路幅について」。
買った後「こんなはずでは!」とならないよう少しだけ知識を身に付けておきましょう。

 

 

 

むかしむかしのお話

道路についてご説明する前に少し予備知識を。

 

建築基準法が制定されたのは昭和25年(西暦1950年)のことです。

f:id:t-mitsuki:20170817235151j:plain

 

当時の日本はまさにザ・戦後

復興に向けて国民総出でがむしゃらに生きていた過酷な時代です。


住宅に焦点を当てると、空襲により焼け野原になってしまった各地では住宅の復興が最優先課題でありました。

建築基準法はそんな住宅が乱立しつつあった時代に「家立てる時は最低でもこれだけは守ってね」と定めた最低限の基準です。

 

そんな背景の中で生まれた建築基準法。

この頃、同時に日本で爆発的に普及し始めたものがあります。です。

 

便利な車。今では私たちの生活に欠かすことができない日用品です。

当然その頃に制定される建築基準法にも車の普及を加味する必要がありました。

 

車に関してひとつまみ説明すると、その一般的な横幅は2mです。(ここ重要)

この数字を頭の片隅に置いていただければこの後の話が少しだけわかりやすくなります。最後にネタばらしをしますね。

 

では話を戻しましょう。

 

2m以上の接道義務

建築基準法ではまず敷地に建築物を建てる時、その土地が2m以上接道していなければならない、という基準を定めています。

 

絵にするとこのような状態です。 

f:id:t-mitsuki:20170817235832j:plain 

 

画像では敷地が道路に対して2m以上接していますよね。これはOKなパターン。

家を建てるにはこの状態が必須条件となります。

 

しかし数ある土地の中には2m以上接していない土地も当然あります。

そうしたケースでは周辺の土地を購入して接道部分を拡大するか、もしくは所有している土地の一部を道路として申請する位置指定道路なる方法で接道を確保しなければなりません。(分譲地などがまさにこれに該当しますね。この辺はまた詳しく掘り下げましょう。)

 

家を建てるのも大変ですね。

 

さてこの接道義務ですが、裏を返せば土地が2mの道路に接続していなければ家を建てることが出来ないことを意味しています。

これにはもちろん建替えも含まれます。

 

つまり皆さんが買おうとしていた中古住宅で接道が2m取れていない場合、家の建替えすら許されないんです。

 

非常にシビアだと思いませんか。

 

立地は良し!けど家ボロい!建て替えよう!

ってなった時、出鼻をくじかれる可能性が大いにあります。皆さんお気をつけ下さい。

 

仮に中古物件の接道部分が2m未満だとすれば、それはおそらく建築基準法が制定される以前に建てられた建物です。

既存で建築物が立っている建物は既存不適格建築物という扱いになり、現況は仕方なく許されているといった状態なのです。

(何も悪いことしてないのに理不尽な話ですよね。これは以前記事にしました。)

 

こうした物件は法律的にはグレーゾーンな物件なので、現行法への適合なくして旧法のまま新しく立て直すなんてことは言語道断なんです。残念ながら。

 

そのため、仮に購入を検討していた中古住宅の敷地が道路に2m接道していない場合は建て直すことが出来ないので、リフォームリノベーションといった手段で再利用する方法を模索しなければなりません。

 

しかし先程も述べたように、建築基準法が制定された1945年より以前の建物。

ざっと計算しても60年以上は経過しているので相当ガタが来ていることが予想されます。

当然かかる費用も高額なものになるので、心してかかりましょう。

 

建替え前提で物件をお探しの方はこのあたり少しだけ注意して物件をお探し下さい。

(99%の不動産屋さんは説明してくれると思いますが、念のため。)

 

前面道路幅員の制限 

2つ目の条件があります。

それは前面道路の幅が4m以上というもの。

 

絵にするとこんな感じ。

f:id:t-mitsuki:20170819130122j:plain 

 

前面道路とは図のように敷地に接している道路のことを指します。

建築基準法ではこの道路の幅(幅員と言います)が4m以上必要ですと言っているのですね。

絵では「前面道路」と表記されている部分の幅が4m以上なければなりません。

 

ではまた同じ流れですが、「前面道路が4m未満」の場合どうすれば良いのでしょう?

 

その答えは「道路を4mに達するまで拡張する」です。

 

道路を拡大する?そんなこと簡単に出来ないんじゃない?

役所とかに行って、道広げて下さいってお願いするんでしょうか。

 

そんな面倒な手続きは不要です。代わりにやることはひとつ。

 

自分の土地を削るんです。

 

なけなしのお金で買った土地。

その一部が削り取られてしまうんです。ザクッ

 

業界的にはよく使われる「セットバック」という行為ですね。

絵にするとこんな感じ。

f:id:t-mitsuki:20170817235845j:plain

 

解説をすると、仮に敷地の前の道路が仮に3mだとすると、不足分の1mを、道路を挟んだ者同士で半分にした0.5m分だけ敷地のラインを下げないといけません。

 

これも非常に厳しいことですよね。

昨今ただでさえ小さい土地でやりくりしなければならないのに、その一部を使ってはいけないと言われているんです。

 

先ほどの話とかぶりますが、仮に建築基準法制定以前に建てられた住宅で、前面道路を思いっきり無視していた場合、「今度は無視したら家立てるの許さないから」と審査機関に忠告されます。

 

繰り返しになりますが中古住宅の購入を検討されている方、くれぐれもお気をつけ下さい。

(99%の不動産ry

 

なにを基準に決めているか 

さて、敷地と道路に対する関係を建築的な視点で説明してきました。

しかしそもそもこの2mとか4mって何を基準にしているか疑問ではないですか?

 

なんで1mじゃないんですか?

なんで3mじゃないんですか?

2位じゃダメなんですか?

 

その答えは冒頭で説明した車が重要な鍵となっています。

そう、車の登場がきっかけなんですね。

 

車と言ってもただの車ではありません。

いわゆる緊急車両と呼ばれる車です。

f:id:t-mitsuki:20170821203104j:plain

 

緊急事態が発生した際、彼ら彼女らが円滑に避難・消火・救助活動を進められるようにこの道幅の基準が決められています。

 

緊急車両が現場に向かったとき、ある地点からその先に進めなかったら困りますよね。

緊急車両が現場に着いたとき、敷地に入れなくて消火活動ができなかったら困りますよね。

 

建築基準法ではそのような事態にならないよう長年かけて都市を整備してきました。

 

なので家の建替えを禁止されてしまった方も、土地を削り取られてしまった方も、言いたいことはたくさんあると思いますが明日は我が身と思って真摯にこの考え方を受け入れていただきたいと思います。

 

しかし実際問題として、まだまだ道幅がせまい道路もたくさんあります。

そういった道に関しては国や市でも様々な買取制度や寄付の制度を行っているので、ご興味のある方は是非自治体にご相談下さい。

 

おまけ 

ところで今まさにこの問題を取り上げていた番組がありました。

日テレ系列で放映中の「幸せ!ボンビーガール」の森泉さんが家を買うコーナーです。笑

 

この番組ではモデル(?)の森泉さんがまさにこの接道2m未満の住宅を気に入ってしまい、大規模な修繕をするという選択肢を選びました。

気力あるな~と思いながら視聴していました。

 

f:id:t-mitsuki:20170821203630j:plain

 

しかしテレビ局の後ろ盾も、森泉さんのような建設業の知り合いもいない私たち一般消費者はやはりこうした物件はまず選択肢から外すのが無難なのでしょう。

 

実際番組でもシロアリや雨漏りの被害が顕著だったので相当の費用が発生しそうです。

今後の番組の展開が気になります。

 

しかしそれでも、よほど気に入った土地があった場合は、とりあえず建築家にでも相談してみましょう。

彼らのプライドにかけて面白い解決策を提案してくれるかもしれません。

 

 

 

おわりに 

いつもご覧になっていだたきありがとうございます。

 

更新が大幅に遅れてしまいました~(悲)

激務のためと言い訳をしたくありませんが、文句のひとつも言いたくなります。

 

建築を生業とするほとんど全ての人間が週6で働くこの業界。

お先は真っ暗だなと感じる今日このごろです。

 

そんな私は業界の腐った部分を最前線で実況していきます。草の根活動です。

読者の皆さんは存分に知人や家族に触れ回ってください。

 

それでは!