皆さん、こんにちは。mitsukiです。
皆さんもご存じの通り、先月熊本で地震が起きました。
正式名称は「平成28年熊本地震」。
被害は甚大で、いまも避難所での生活を余儀なくされている方が数多くいると思うと胸が苦しくなります。
車で寝泊まりしている人もまだまだ多いとのこと。
私は旅行でよく車中泊をするのですが、あれは楽しい時にこそすれ、日常的にしていたら本当に身体を壊してしまいます。
大変な状況が続きますが、避難している方々が一刻も早く日常生活に戻れるよう応援しています。
兎にも角にも、こういったことは関心をなくさないことが肝心ですね。
今後も常にアンテナを張っていきたいと思います。
さて、今回は地震の被害にあった建物について少し気になったことがありました。
それはピロティ式(一階が駐車場)のマンションです。
ピロティ
ピロティって何だろう?
私もこの地震が起こるまでは知りませんでした。
ピロティとは、「一階を駐車場などの吹き抜けの空間にし、二階以上の階に居住部分をかまえた建物のこと」を言います。
イメージとしては以下の写真です。↓
よく目にしますよね。
こういったマンションの利点は建物内に駐車場が設けられることで、スペースの有効活用ができることです。
今回の地震で気になったこととは、
写真ように一階部分がぺしゃんこ状態になってしまったマンションが数多く見受けられたことです。
なぜこのような事態になってしまったのか?
それは、ピロティ構造は「壁が非常に少ない構造だから」です。
それが耐震性とどう関わってくるのか、説明していきたいと思います。
壁と耐震性
耐力壁という言葉があります。
壁が建物をもたせているのです。
…???
ピンときませんよね。
私も今でこの場で説明できるぐらいには理解できましたが、初めてこの言葉を聞いたときは全くトンチンカンな状態でした。
耐震性と壁はとても密接に関わっています。
例えば、下記イラストの左右の構造では、どちらの方が横向きの力に強いと思いますか?
もう答えは書いてありますが、左の建物は平行四辺形に歪んでしまっています。
(------の線)
それとは対照的に、右の建物は斜めに配置されている「筋交い」という部材が建物の形を保つのに一役買っていますね。
以前、柱についてまとめましたが、柱単体はあくまで建物の垂直(縦向き)な重さを支えるためにあります。
では地震や風力など水平(横向き)な力に対しては無防備か?といえば、もちろんそんなことはありません!
その役を担っている部材が、先ほども説明した「筋交い」です。
筋交いの他にも、柱と柱の間に一枚の板をバチーンと貼って固定してしまう「構造用合板」というやり方もありますが、詳しくはまた別の機会に。
筋交いという部材も説明できたので、いよいよまとめに入りたいと思います。
ピロティと耐力壁
通常、筋交いだけを人目に晒すことはしませんので、壁の中に隠してしまいます。
その筋交いなどの壁を含んだ壁を「耐力壁」と言います。
建物が地震などで倒壊しないよう計算するいわゆる構造計算では、
この耐力壁が東西南北方向に基準を満たした分だけキチンと配置されているかが重要なポイントになっています。
そこを意識しながらピロティ式のマンションを見てみますと…
壁がほとんどない!
駐車スペースなどを考えたら仕方のないことですが、もともと構造的に地震に弱い建物だったんですね。
もちろん、あくまで構造的な話になりますので、一概に良い悪いは言えません。
ピロティ式でも地震に耐えたマンションの方が圧倒的に多いですしね。
現在まで建っている建物は当時の建築基準法を満たしているかたこそ、建っているのです。
語弊がある書き方をしてしまい、大変失礼しました。
ただその建築基準法も、現在の耐震基準になったのが1981年以降ですので、それ以前に建てられたマンションは少し注意が必要です。
(このような法改正により建築基準法から外れてしまった建築物を既存不適格建築物と言います。)
修繕費を積み立てて、管理がしっかりしているマンションであれば何ら問題はありませんのでご安心を。
今回は熊本地震がきっかけとなり、不謹慎ではありますが、良い勉強の機会になりました。
杭打ちの偽装など、マンション偽装の問題が昨今取り沙汰されていますが、そういった問題に騙されないように一般消費者の目も鍛えていけたら良いですね。
そんな有意義なブログにもしていきたいと思います。
いつもご覧になっていただき、ありがとうございます。
それでは。