皆さん、こんにちは。mitsukiです。
録画で取り溜めしている「ガイアの夜明け」を見ていたら、とても興味深い回がありました。
「外国人技能実習制度」という制度で、端的に言えばベトナムなどの途上国から日本で働きたい若者を連れて来るというものでした。
これを見ながら思ったんです。
新たな「奴隷制度」だな、と。
建築業界は職人の待遇を改善する気はさらさら無いようです。
外国人技能実習制度の概要
改めてこの「外国人技能実習制度」について説明します。
公式HPから大事なところを一部抜粋したのでチラ見して下さい。↓
・技能実習制度の目的・趣旨は、我が国で培われた技能、技術又は知識の開発途上地域等への移転を図り、当該開発途上地域等の経済発展を担う「人づくり」に寄与するという、国際協力の推進です。
・制度の目的・趣旨は1993年に技能実習制度が創設されて以来終始一貫している考え方であり、技能実習法には、基本理念として「技能実習は、労働力の需給の調整の手段として行われてはならない」(法第3条第2項)と記されています。
技能実習制度の内容は、外国人の技能実習生が、日本において企業や個人事業主等の実習実施者と雇用関係を結び、出身国において修得が困難な技能等の修得・習熟・熟達を図るものです。期間は最長5年とされ、技能等の修得は、技能実習計画に基づいて行われます。
(出典:公益財団法人 国際研修協力機構)
難しいことが書いてありますが、要は
①.「日本で培った技術や技能を開発途上国に伝授しますよ!」という国際協力の一環。
②.①の理念に基づいているため、日本の都合だけで外国人労働者を使うことはあってはならない!
③.雇用期間は最長5年!
そんなことが書いてあります。
なるほど理念は素晴らしい。
しかし実態はどうなんでしょうか。
外国人技能実習制度の実態
この実態についてはガイアの夜明けで詳しく特集されていました。
①開発途上国と日本をつなぐ「送り出し機関」という悪徳ピンハネ業者の存在
②安月給(日本からすれば)で働く外国人労働者(しかも未払い!)
③外国人労働者が担うのは日本人がやりたがらない仕事ばかり
まとめるとこんな感じ。
番組的にもフォーカスされていたのは①のピンハネ業者であり、実際「悪徳業者VS正義の弁護士」的な番組構成で面白かったです。
番組内で登場した悪徳業者は視聴者によって特定されており、文春砲ならぬガイア砲をくらっていました。視聴者恐るべし…
(ちなみに現在ガイアの夜明けに特に厳しくマークされている企業はレオパレス21です。)
しかし!
ガイアの夜明けとは別に、私が重視したいのは寧ろ②と③。
「外国人労働者が担う仕事は日本人にとって魅力が乏しい安月給な仕事」
この一点に尽きます。
私たち建築業の下請け仕事は世間からこのように捉えられていると自覚するべきでしょう。
技能実習制度が目をつけられるまでの流れ
下請け仕事とは
まず建築業の下請けについて簡単に説明します。
一口に建築業といってもその職種は多岐にわたります。
これまで紹介した中にも大工工事、左官工事、塗装工事などがありましたね。
建築業法ではそれらを29業種に分類し、営業する上でも許可が必要になります。
「建築士法に則って設計士が図面を作成し、図面に沿って工事をする」
このフローが一般的なため、建築業者は下請け的な位置付けで語られることが多いのです。
過酷な労働環境
次に下請け業に魅力がないとされている理由を考えます。
それは改めて言うまでもなく3Kだからです。
①きつい:基本肉体労働です。
②危険:高所作業、もちろんあります。傷は名誉の勲章です。
③汚い:床下・天井裏、屋根上。潜って登ってなんぼです。
上記に加え、帰れない、休みが少ない、怒鳴られる等々留まるところを知りません。
さらにこれらの要素に加え、給料が少ないという金銭的な苦痛もあります。
つまり肉体的にも精神的にも、そして金銭的にも良い所がほとんど無い!
百歩譲って仕事内容にやり甲斐を感じるものだったとしても、それを知るまでに挫折してしまう人が大多数です。
そんな業界なので当然のように人が集まりません。
客観的に見たら理由は明白なのに、本気で頭を悩ませている経営者がいるから笑えます。
話は逸れますが現代は情報化社会です。
ブラック企業なんて言葉も浸透しました。
誰でもネット上で様々な職種を気軽に比較できちゃいます。
その影響もあり、これまでこき使われてた側の人間が「俺の仕事って実はヤバい?」と気付くのに時間はかかりませんでした。
業界問わず全ての職種がフラットに比べられる現代において、理不尽で非生産的な建築業界は驚くほど不人気です。
win-winな関係
さて、このようないきさつから外国人技能実習生を採用する業者が表れ始めました。
この土俵に立てばたとえ過酷な環境であっても人が集まります。
なぜか。
それは日本にとっては安月給な給料でも、外国人技能実習生にとっては十分すぎるほどの報酬だからです。
月収15万円はベトナムでの年収のおよそ5倍。大金ですね。
実態はわかりませんが、彼らは家族の生活を背負ってきている以上この水準のお給料がもらえるのであれば自ら進んで働くのでしょう。
労働環境の良し悪しを重要視していないことが容易に想像できます。
つまり、結局の所大事なことはお金なんですよね。
このような流れで外国人技能実習生と日本の経営者とで利害が一致しました。
職人不足に悩まされる会社は人手確保のため外国人技能実習制度を活用しています。
まさにwin-winな関係と言えるでしょう。
将来性があると本気で思っているのか
さて、職人不足の現状と外国人技能実習制度の関係について説明しました。
わざわざブログで取り上げたのは現状が根本的な解決になっていないと思うからです。
どの業種でも同じですが、当初海外委託といえば人件費の安い中国でした。
その後中国が本格的に先進国に仲間入りを果たし、人件費の面でのメリットは減りました。
その後目を向けたのはインドであり、こちらも同様。先進国に片足を突っ込み始めました。
その後目を向けたのはベトナム…(以下同文)
ズバリ、イタチごっこなんです!
先の例からもわかるように、資本と技術を引き換えに途上国の労働力を得ることは一時的ではあっても、恒常的な解決策にはなりません。
その国がいずれ経済的に成長したとき、代わりとなる国をその都度探さなければならないからです。
ではどうするべきか。
個人的には国内の職人の処遇改善に努めるべきではないかと思います。要は報酬を増やすべきかと。
休みが少ないのも(職人の休日は基本的に日曜祝日だけ)、それだけ働かなければ食べていけないというひとつの仕事に対する報酬の少なさが原因です。
この部分を改善するだけで幾分マシになるはずです。
先ほど職人の労働環境の3Kを誇張しましたが、実はさしたる問題ではないです。
外国人技能実習生がそうであるように、高い賃金がもらえるのであれば汚れ仕事も厭わない人は一定数います。日本人だとしても絶対います。
ましてや世間にこれだけホワイトカラーの仕事が増えた昨今、職人気質のブルーカラーの仕事が見直される日はそう遠くないと考えています。
過去の凡例にならった事務的・ルーティーンな仕事がAIに取って代わられる可能性が高い分、なおさらです。
「少年よ、職人を目指せ。」
そう若者に伝えたいですね。
しかしそのための課題は山積しています。
少なくとも二次請け・孫請けが横行している現在の建築業界では到底無理。夢物語です。
職人を正当に評価し、施主と職人とを限りなく近い部分でマッチングする抜本的な仕組みが必要かなと思います。
従来の中間マージンを職人に還元するイメージですね。
話が飛躍しそうなので、また別の記事でまとめます。笑
おわりに
いつもご覧になっていだたきありがとうございます。
サッカーW杯も終わり、いよいよオリンピックの機運が高まってきましたね。
私が最も心配することは開催期間の通勤ラッシュでしょうか。
未曾有の大混雑になりそうですし、ホームから人転落なんていうニュースもたくさん流れそうです。
ましてや猛暑を考慮して試合時間を早朝にするなんていう対策も決まったようで…
どうなってしまうんでしょうか。汗
それでは!