建築士になるまでに

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「けんちく」のプロを目指して

瑕疵担保保険とは

皆さん、こんにちは。mitsukiです。

 

お問い合わせいただいた質問の中に、自分でも理解が不十分だったご質問がありました。

今回はその整理も兼ねて記事にしたいと思います。

 

「瑕疵担保責任保険」という制度についてです。

(「かしたんぽせきにんほけん」と読みます。)

 

家の購入を検討している方なら聞いたことがあるかもしれませんね。 

聞き慣れない言葉ですが、噛み砕いてご説明します。

 

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瑕疵ある住宅

 

瑕疵担保保険は家の買い主を守るための保険制度です。

どんなケースで守るかというと家を建てた事業者がすでに倒産していた場合です。

 

そこを念頭に説明します。

 

まず言葉の意味から考えると、 

瑕疵とは「欠点」、担保は「保証を与えること」を意味します。

 

ざっくり意訳すれば

「建設会社が建てた家の欠点に対して保証を与える保度」

こんなふうに捉えれば問題ないでしょう。

 

そもそも住宅という長期間使用する商品について、瑕疵(つまり欠陥)が発生した時点で、建設会社がすでに倒産しているなんてことはザラにあります。

自分の家に一番詳しいはずの相手がいない状態ですね。

 

これは困った。

砂漠に1人放り出されたような感覚です。

 

しかしその間も住宅の欠陥は存在し続けているわけで、建設会社でなくとも誰かしらがお金を払って補修工事を行う必要がありますよね。

 

仮にここで手をこまねいて何も行動を起こさなければ、家の価値はどんどん低下していきます

雨、風、太陽光などなど自然は待ってはくれないですからね。

 

これは家の持ち主にとっても避けたい事態です。

いくら木造住宅30年といっても、多少なりとも資産として残したいでしょう。

 

「なら本人がお金出して直せばいいじゃん?」

そう思う方もいるかもしれませんが、そう一筋縄にはいきません。

 

なぜか。

それは建築工事は意外とお金がかかるからです。

 

制定されるまでのお話

 

建築の修繕工事。

 

買い手にとっては小規模に思える内容でも、10万・100万単位のお金がかかることも多いです。

下手したら千万単位もありえます。

 (ちなみに瑕疵担保保険の基本的な上限金額は2000万円です。)

 

先ほど雨漏りを例に挙げましたが、雨漏り単体であれば世間の相場は10万~100万。

高いと感じるか、安いと感じるかは皆さんの経済力によるでしょう。

 

ただ、すぐに直してしまえばまだこの程度の金額で済みます。

貯金のある方なら何とかなる金額かもしれませんね。

 

問題は雨漏りを放置することで躯体となる木材が腐朽菌に侵されたり、カビが発生したり、シロアリに食べられてしまうことです。 

こうなったら、もうその木材ごと入れ替えるしか方法はありません。

 

劇的ビフォーアフターでもやっていましたが、柱や土台を入れ替えるのってお金がかかりそうですよね。

その理由は、建築物は構造にいけばいくほどお金がかかるからです。

 

建物は「構造→下地→仕上げ」の順で形成されています。 

仮に構造部分の修繕工事をする場合、解体から始めたとして以下のような順番で施工されます。

 

→仕上げ

 →下地

  →構造

   →補修

  →構造

 →下地

→仕上げ

 

建築工事がなかなかイメージできないという方も、補修工事にお金がかかる理由が何となくは理解できたかと思います。

 

こういった構造を触る大掛かりな工事(いくつかの職種が必要になる工事)はその分費用もかかりますが(感覚的には最低100万円~)、 

それでも戸建てであれば、貯金のある方ならまだ何とかなる金額かもしれません。

 

しかし2005年、建築業界に激震が走りました

建設会社が倒産していた際の瑕疵問題が表面化する大事件が起きたのです。

 

かの有名な「姉歯構造計算書偽造問題」です。

 

簡単に言えば設計士がマンションの構造計算書をちょろまかしていた事件です。

 

住民側の視点で見ると、突如自分が住んでいるマンションが法律で定める耐震基準を満たしていなかったと言われます。

建設会社に文句を言いたくとも、世間の批判にさらされその会社は間もなく倒産しました。

 

残された住民。

分譲マンションなので、建替え・補修工事などができるような規模ではありません。

ここまで来ると、もう個人の貯金でどうこうできる問題ではないんですね。  

 

結局住民は泣き寝入りを余儀なくされました。 

 

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住宅瑕疵担保履行法の制定

 

この事件が直接的な契機になったかは知りませんが、2009年10月より住宅瑕疵担保履行法が施工されました。

 

この法律により建設会社は家を売る際、自社が倒産した場合でも家の修繕工事のための保証金を確保する義務が発生しました。

保証金の確保についての具体的な方法としては、以下の二通り。

 

①倒産した時に備えて保険に加入してね(瑕疵担保保険)

②たくさんお金を用意しといてね(供託金)

 

建設会社は家の建設中に所定の検査をクリアすることで、瑕疵担保保険に加入することができます。

加入ができれば、仮に自社が倒産した場合に瑕疵が発覚した場合でも、その保険金で修繕工事が可能になる、という仕組みです。

 

こうして2009年以降、家の買い主様を守るための法律が無事制定されました。

めでたしめでたし。

 

ちなみに、瑕疵の対象となる部分は下記のような家の寿命に直結する部分が主です。

 

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キッチンのグレードが違う!などといった類のものはもちろん含まれません。

当事者間で解決しましょう。 笑

 

 

おわりに

 

瑕疵担保保険について調べれば調べるほど、なぜ従来このような消費者を守るセーフティーネットがなかったのか不思議でなりませんでした。

 

そう思い、姉歯事件が起きた当時を知る方からお話を聞くと、これは当時本当に衝撃的な出来事だったそうです。

 

「まさか一級建築士が偽装を働くなんて思ってもみなかった。」

皆さん、口々にそう言っていました。

 

ですが、個人的には別の感想を抱きます。

「昔の建築業界は善意が前提で成り立っていたんだな」と。

 

裏を返せばまともなチェック機能が働いていなかったのでしょう。

 

この事件以降は、確認申請や完了検査が厳格化され、建築士試験が難しくなり、住宅瑕疵担保履行法が制定されるなどなど。

急速に制度が整備されていったことが見て取れます。

 

当事者には「お気の毒に」としか言えませんし、業界の人間からすれば厄介な事件だったのかも知れません。

 

しかし一般の方からすれば業界全体が良い方向に転がった契機となる事件と言えるのではないでしょうか。 

不謹慎ですがそう考えてしまいます。

 

小難しいお話になってしまいましたが、このへんで。

 

いつもご覧になっていだたきありがとうございます。 

 

それでは!